これは皆さんがよく目にする視力検査表です。「どこに輪っかの切れ目がありますか?」 と聞かれ「うえ~、みぎ~、した~」などと答えた経験がおありになるかと思います。この視力測定のみでメガネをお作りになる方が多いのではないでしょうか?
しかし、この検査だけでは見つけ出せない眼のトラブルがあるのです。
それは、、、
両眼が仲良く手をつなげているか?
を調べる検査です。この検査では、左右別々の眼から入ったリンゴなどモノの
イメージ(像)が脳でうまく一つに融合されているか?
を調べます。この検査のことを、私たち眼鏡士は
‘両眼視機能検査’
といっています。実は、この検査を正しく行える眼鏡店は少ないのです。ここでは、この両眼視機能検査をご紹介したいと思います。
(あなたのご近所で、両眼視機能検査が行えるメガネ店を探したい人は、こちらをクリックしてください↓)
これは‘十字テスト’と言って、偏光フィルターを使った視力測定です(ポラテストといいます)。左右違った偏光をかけることにより、右目では縦の棒が、左目では横の棒のみ見ることができます。
これで何が分かるかというと、
右目と左目のずれ
を検出できます。私たちはモノを見る際、両目の方向を一点に集中する、という作業をしています。といっても、無意識に行っているので普段気にすることはありません。
この左右の目の‘ずれ’が大きい人は、酔っ払ったときやひどい疲れのときなどモノがダブって見えた経験がおありになるかもしれません。酔った時など、世界がグルグル回って見え、よけいに酔いがまわります(@_@;) そんなときは、
片目を手でふさぎましょう♪
ダブっていたモノがひとつになり、グルグルがおさまることでしょう。片眼で見ることにより両目のずれがなくなり、結果、ダブりがなくなるのです。
この両目の方向のずれのことを、眼科用語で
‘斜位(シャイ)’
といいます。「斜視は聞いたことあるけど、斜位って何?」 と思った人がおいでになるかと思います。ご存じのとおり、斜視は外見からして違った方向を向いている目です(余談ですが、うちの愛犬のフレンチブルドックは目が外を向いており、とってもカワイイです♪)。 それに対して、斜位は普段の見た目はふつうですが、疲れたり、酔っ払ったり、体調がすぐれないときに‘斜視’が顔を出します。普段は隠れているので
‘シャイ(斜位)’な斜視
と覚えてください。斜位がある人はフィルターを通して十字視表を見ると、十字にはみえず、棒がずれて見えます。左右にずれる人や上下にずれる人、上下左右どっちもずれる人など、人によりずれる方向やずれの大きさは異なります。このずれが大きい人は普段、
‘がんばって’ものを見ている
のです。この‘がんばり’は、疲れ目の原因になります。こういった人には
‘プリズムレンズ’
をご提案さしあげています。プリズムレンズは目を一点に集中するための補助をしてくれます。結果、目の疲れが軽減されます♪
また、ご自分で何とかしたいという方には輻輳(寄り目)トレーニングをお勧めします。詳しくは視覚トレーニングってなぁに?をご参照ください。
これは‘コの字テスト’といいます。このテストでは
左右の目に映るモノの大きさの違い
を見ます。レンズにはプラスレンズとマイナスレンズがあり、プラスレンズを通して見るとモノが大きく見えます。反対に、マイナスレンズはモノを小さく映します。メガネをおかけになる人はご存知かもしれませんが、
左右の目のレンズ度数は違っている人が多い
のです。左右の目でモノの大きさが違って見えることを‘不同視’といいます。
度数の差が大きすぎるメガネでモノを見ると、例えば、リンゴを見た場合、左右それぞれの目で大きさが違って見えます。その結果、両目で見るとリンゴがダブって見えてしまいます。この場合は、ダブりがなくなるよう、
両目のレンズ度数の差を少なく
します。そうすると掛けやすいメガネになります♪
モノクロの検査ばかりだったので、ここらでカラーのものをご紹介します。これは‘レッドグリーンテスト’といいます。見た目の通りのネーミングですね(笑)。このテストでは、
メガネのかけ心地の良し悪し
を判断します。色の波長の差異を利用したシンプルな検査です。詳しく説明するとみなさんよく分からなくなると思いますので、ここではこんな風にイメージしてください。
赤は波長が長く‘目に優しい’光
です。それに対し、
緑は波長が短く‘ギラギラ’した光
といった特長があります。画面上で上の赤緑の文字列を見てみると、赤は優しく、緑はギラギラという感じがお分かりになるかと思います。こんな理由から赤の◎と緑の◎を見比べていただき、赤の◎がハッキリ見えるメガネを良好なメガネ、緑の◎がハッキリするものは度が強すぎる(近視の場合)と判断します。このテストはポピュラーな視力測定なので、みなさん既に経験されているかもしれませんね♪
これは‘時計テスト’といいます。このテストでは主に眼の回旋をみます。‘回旋’とはなんぞや? 回旋は瞳を中心に眼が回転することを意味します。回転しちゃうの? っとビックリした方もいるかもしれませんが、通常その量はわずかです。‘時計テスト’では、そのわずかな回転を検出することができます。この瞳を中心に眼が回転することを
‘回旋斜位(かいせんしゃい)’
といいます。先ほどの、‘十字テスト’で出てきた左右の斜位に対し、‘回旋斜位’は
眼の傾きの斜位
です。そのせいか写真も傾いています(笑)。
ちなみに眼の傾きがある人の中には、傾きを打ち消すために、首をかしげてモノを見る人もいます。
当店にお越しになる方は、ほとんどの方が正常眼もしくは許容範囲の回旋斜位です。回旋斜位が視覚に影響する場合、視機能訓練(ビジョントレーニング)やプリズムメガネなどを検討します。
続いては上下に数字が並んでいる視標です。
この指標を使って‘バランステスト’を行います。‘バランステスト’とは、
左右の見え方を整える
ための視力測定です。偏光レンズを通してみると、右眼には上の行が左眼には下の行が映ります。そして、お客様には上と下を見比べていただき、見え方が等しくなるようにレンズ度数を調整していきます。
バランステストは、快適なメガネを作る上で、とても重要です。眼鏡学校でも「バランステストをおろそかにするな!」と口を酸っぱくして言われました。ただ、
若い人はレンズ度数を強くしていけば、上下共にハッキリ見えてしまう
ので、レンズ度数を上げることには気を配らなければなりません。皆さんの中にも、メガネを掛けるととても目が疲れるという人は、レンズ度数が強すぎるのかもしれません。一度、お近くの認定眼鏡士に度数をチェックしてもらうといいでしょう。基本的に視力測定は無料です。安心して眼鏡店のドアを開いてください♪
これは立体視力を測定する‘3Dテスト’です。偏光レンズを通してみると、何個かの
三角形が飛び出して
見えます。車の大型免許や二種免許を更新する際に、
深視力
という検査を行いますが、ドライバーの立体視力を見ているのです。基本的に大型や二種を必要とする方はプロのドライバーですので、立体視力が‘低い’もしくは‘ない’と免許不適と判断されます。
みなさんも片目をつむり、目の前で左右の人差し指の尖端どうしを合わせてみると、その困難さがお分かりになるかと思います。その困難さは、運転の困難さとなってドライバーの前に立ちはだかります。
昨今、3D画面がブームになってきていますので、昔より立体視への認識が浸透してきました。なので、以前はみなさん飛び出る三角形にビックリしていたのですが、いまは驚く人はまれです(-"-)
検査では、「一番上のAの横列の何番が飛び出ていますか?」といったかたちで測定していきます。下に行くごとに難しくなっていきます。大型や二種免許をお持ちの方は、お近くの認定眼鏡士のお店で免許更新の前に、立体視力をチェックしてもらうと安心です♪
レッド・グリーンテストにつづいてカラーのテストです。‘ワース・フォードットテスト’といいます。○(ドット)が4つあることからネーミングされました。このテストは左右それぞれの目に、緑と赤のフィルターをつけて行います。こちらのテストは
両眼でモノを見ているかどうか?
を調べるものです。いままでご紹介したテストは視線のずれを検出するものでしたが、‘ワース・フォードットテスト’では、
実際にちゃんと両眼を使っているか?
を見極めます。実は、視線がずれていてもちゃんと両眼をつかえている人もいれば、視線がずれていないのにモノを見る際には片目しか使わない人もいるのです。
上の写真を見てください。左眼(緑)は一番上の○が暗く見づらくなっています。一番上の赤○は緑の反対色のため緑フィルターで打ち消してしまい、黒く見えるのです。反対に、右眼(赤)は左右の緑が同じ原理で打ち消され、黒くなっています。まとめますと、
左眼(緑)→下三つの○が見える
右眼(赤)→上下二つの○が見える
結果、両眼で同時に見ると、両眼が仲睦まじく働いている人には、丸が四つ見えます。こんな感じです。
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一方、両方の眼がなかよく共同作業をしていない方には、左右の目で一つに見えるはずの一番下の○が、二つ見えてしまいます。こんな感じです。
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他にも、片目の情報をシャットアウト(抑制といいます)してしまう人は、○が三つor二つしか見えなかったりします。ちなみに、右眼の情報をシャットアウトしてしまう人はこんな感じに見えます。
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フィルターを使い‘非日常的’な視覚環境にすることで、両眼の共同作業の有無がハッキリと検出できます。
問題解決のためには、‘プリズムメガネ’や‘ビジョン・トレーニング’を提案させていただきます。